齋藤健一の交通安全講座

『ミスをすれば死ぬ!』

ゆずりびと⑮

 譲ると言っても、見知らぬ土地で譲る場合、左に避けたら、そこにポッカリと空いた側溝があれば、譲ったが為に脱輪してしまう。

 

 それは最悪なことだ。

 

 だから俺は譲る時に、左側に何もないか、注視する。

 

 箱根から熱海に下って行くクネクネ道も、蓋がない側溝がずっと続くんだよな。

 

 あれ、怖いよ。脱輪したらどうするんだよ。

 

 だから速度は出さないんだけどね。

 

 スリップして脱輪したら馬鹿だから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 てか、この時の俺は、深夜に峠道を走っていたのか。

 

 我ながら、よくもまあ、ここまで頑張ったものだ。

 

 人間、その時、その時で、傾ける情熱の対象も異なるし、情熱の熱量も異なる。

 

 今の俺がここまでしろと言われても、出来ないね。

 

 今の俺は深夜ドライブは御免だ。

 

 疲れるから。